#60 珈琲焙阡人 ひぐらし 佐藤泰史さん



私が伝えたいこと
 やっぱり、みんなにわからせてあげたい、間違ってるものは間違っているんだよってことをわからせてあげたいっていう思いはあるんですよね。
 あくまでもコーヒーの場合、重要なのは器に入った液体が美味しいかどうかだと思うんです。雰囲気や器で選んだりする人もいますが、私は技術をもらったからこそ味で勝負したいなと。ケータリングでは紙コップでそのコーヒーをお客さんに出すわけですが、「紙コップに入ってくるようなコーヒーの味ではないんじゃないか」とお客さんが思えるようなギャップを作り出せるというのは、ケータリングのミソですね。
 でも、世間的にはコーヒーの美味しさと人気や売り上げが比例しているわけじゃない。例えば、雑誌とかによく出てくる珈琲屋さんに行ってみたら、そんなに味は大したことないってことはあるじゃないですか。歌の世界で、売れている歌手と歌がうまい歌手は別であるというように。そういうことはあって当たり前なのかもしれないけれど、正直面白くないですよね。なぜなら、よそにはない技術を自身が持っている。そして、よそにはない味を出せるという自負を持っているわけだから。
 これまでコーヒーに携わってきて、自身がちゃんとしたコーヒーとダメなコーヒーの違いがわかったからこそ、前者の方を提供したいなと。いずれは店を構えることも視野に入れている今ですが、どんな形にせよ極めたコーヒーの味はこういうものなんだってことを世間に伝えていきたと思っています。
<編集後記>
僕にはコーヒーの味はわからない。雑味がないとか、澱みがないとかはわからない。
でも、話す言葉に含まれた”雑味”や”澱み”はわかると思っている。

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